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蔵歯会の活動



6月9日からクラウドファンディング【口腔ケアロボットg.eNを使った臨床研究プロジェクト】が公開されます。

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プロジェクトの要約(概略)
 令和時代の歯科界では、robotics(ロボット工学)あるいはデジタルデンティストリーの導入が注目されています(日経トレンディ―:No.497号,2022)。もっとも国民が身近に感じる歯磨きにもロボットが導入されようとしていることが紹介されています。他方で、現在日本には、歯磨きに問題を抱える要介護者、高齢者、発達障害者、身体障害者、難病患者などが約1,000万人存在するとされています。そういった方々が、くちにマッサージ器具を入れるだけ、あるいは歯磨きヘッドを入れて前歯で嚙むだけで、ひとりで口腔ケアができれば、本人を含め周りの方々のQOLは、どうなるでしょうか。医療現場、介護現場はどうなるでしょうか?
 本事業は、紹介された歯みがきロボットに口内マッサージ機能を加えた、口腔ケアロボットが如何に有用か?を明らかにするための臨床研究を支援する事業であり、延いては当ロボットが切り拓く長生き時代を支援いただくことに繋がっています(図1)。

プロジェクトの動機と経緯
 2016年早稲田大学理工学部のRobotics研究室からベンチャーが起業しました。実行者は、起業と同時に同機の監修を行い、試作1号機から自ら使用してきました。現在では試作10号機が口腔ケアロボット(g.eN: Ginics社)として開発され、希望者のみに限定販売中です。開発のコンセプトは、①誰もが簡単にいつでも使用できること、②くちの多くの機能(単純機能~高次機能)をサポートできること、の2点です(図2)。
 使用中の方からは、感謝の声が多数寄せられています。例として歯ブラシ症例を示します(図3)。
・26歳の筋ジストロフィーの男性(本人ご家族了承済み)。
・在宅全介助で歯ブラシの保持が困難な方です。
・口腔機能は、概ね正常で、お互いのストレス軽減と歯周組織の改善を求め、歯ブラシロボットの使用を希望されました。定期健診では、清掃状態と歯肉の状態の改善が確認され、両者のストレスも軽減し継続使用されています。
 本機は歯科臨床的に、学術的に評価する必要性が生じています。誰が、何時、どのように使用すれば、最も効果的であるのか?明らかにする必要に迫られています。科学的根拠は皆無です。本機の歯ブラシ機能については、私(健常者)が試作8号機を用いて実施した、DB(歯垢)の除去能力に関する報告があるだけです。10号機とはスペックが異なりますが、220秒磨きで平均プラークコントロールレコード(PCR)値が22.4%まで除去することができます(J Health Care Dent. 2022; 23: 47-56. 図4)。2018年当初の試作1号機を自験した後は、くち中が血だらけでした。今では、複数のメディアでも取り上げられていますが(図5)、その有効性や有用性については科学的な根拠に裏付けされている訳ではありません。あくまでも個人の印象です。他方で、介護用、アンチエイジング用グッズとして注目され始めています。実行者が所属する抗加齢医学会が共催し、抗加齢協会が主催した第6回ヘルスケアベンチャー大賞というイベントをGenics社に紹介し、応募した処、ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(銅メダル:応募25社以上)を受賞しました。アンチエイジングという領域では、本機はそれなりに注視されていることが明かです(図6)。

プロジェクトの背景と集めた資金の使途
 現状、歯磨き機やマッサージ機は日用雑貨のカテゴリーに分類される健康グッズ、あるいは予防グッズです。医療機器、治療器具ではない為、臨床研究費を獲得するのは困難な状況です。Genics社はロボットの開発費を投資家に募り、調達してきました。
 開発したロボットのスペックを客観的に評価し、普及させるには、臨床研究が必要です。科学的な根拠が必要です。図7に示す全ての臨床研究のデータが出揃い良い評価が得られれば、本機は、マルチ口腔ケアロボットとして、万人に受け入れられるでしょう。口腔衛生状態や口腔機能状態については、最終的に横断研究で、誰がいつ使うと最も効果的か示す必要があります(緑塗部)。今回のファンディングでは、黄色塗りの部分が対象です。4件の要介護施設で、各施設マッサージ機能(10名)と歯磨き機能(10名)を計80名の被験者を、訪問歯科診療を実施している歯科医院のスタッフが評価することにしました。一般(図8:健常者、青塗部分)に対する研究は、一部実施済みであり一部実施中です。
 参考までに、寄付の目標額に応じた、事業プロジェクトの概要について、図8にしましました。参考にして頂ければ幸いです。
“長生きを切り開く、口腔ケアロボットの未来につなげる臨床研究を!”に、ご支援をお願い申し上げます。

資金使途、および実施内容の詳細
・資金使途
  本クラウドファンディングの目標金額 500万円
(内訳)
  要介護多施設臨床研究経費  400万円
  クラウドファンディング手数料  100万円

プロジェクト実施期間
 研究は1年間を予定しています。よって本プロジェクトに要する実施期間は、~2027年3月31日を想定しています。

プロジェクト実施内容
 いただいた寄付のすべては、歯科医療スタッフが実施する臨床研究に注がれます。

https://readyfor.jp/projects/oral-care

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